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[#104] 何とも言えない 『AB型だと!?』
『AB型だと!?』
ここ最近で一番ショックだった出来事。
ライブのMCでも話したし、タイトルからも想像できるかもしれないが最後まで読んでほしい。
人間ドックは自分では気付けない身体の異変を知らせてくれるものだと思っていたが、とんでもない事実を僕に突き付けてきた。
勝手にLEGOの常識人を自負していた。
メンバーは異論があるだろうが自負していた。
ボーカルは王様気質のB型、ベースは変態気質のAB型。
やれやれまともなA型の人間は僕だけなのか、世話が焼けるぜ。
なんて過ごした十六年間。
テレビの血液型占いを眺める。
無意識にA型の運勢を読んでいる自分がいる。
あぁその運勢は僕には関係ないのに。。。
人間ドックの結果を読んでいてもわからない単語ばかりだ。
難しい漢字や、意味不明のアルファベット。
でも基本的にはA判定しかなかったし、B判定のところ二箇所はラーメン二郎が大好きなら仕方ないという箇所だった。
嘔吐反射により胃カメラができなかったため胃の中だけは判定不能だったので胃の様子はわからない。
そのことについてはまた別のコラムで書こうと思う。
とりあえず用紙にはAかBしか書かれておらず一安心した。
楽屋に入れば自分の荷物はまとめ、衣装をハンガーにかける。
ツアー先のホテルも人よりは綺麗にしている自信がある。
家のリモコンの位置がバラバラなのも嫌。
ハンガーの種類がバラバラなのも嫌。
クローゼットの服は黒から白へグラデーション順にかけてある。
これはどう考えてもA型の特性じゃありませんか?
健康診断の結果が来る前の日。
久しぶりにテレフォンズのベース涼平と飲んだ。
彼は数少ない同い年のバンドマン。
ここまでお互い走り続けていることにエモい気持ちになる。
そんな彼と血液型の話になる。
「え!涼平もAB型!?AB型のベーシスト!?」
僕の蔑んだリアクションに彼も穏やかではない。
「何だよ、文句あんの?」
「いやいや、うちのシンタローもAB型のベーシストやで!!!」
彼にもシンタローに変態気質を垣間見たことがあるのか、そこから反論はなかった。
フリが効きすぎている。
つい昨日AB型をディスったところだ。
日本昔話のような展開に市原悦子の声が聞こえてきそうだ。
涼平は当分会わないから良いとして、今まで変人扱いしてきたメンバーに報告するのが辛い。
最大級のしっぺ返しを喰らうのは確実なのだから。
事実、報告後初めて彼らと会った時心なしかずっと僕を見る顔がニヤニヤしていた気がする。
悔しい。
オカンに電話してみる。
「僕AB型って判明してんけど」
「え!そんなはずないで!書類見てみるわ」
そう言って三十八年前の書類がすぐに出てくるあたり親はすごいなと思う。
すぐに電話口でオカンが言う。
「ほら、紙にはA型って書いてるで!昭和五十九年四月十日って」
「いやその日まだ僕生まれてへんやん」
「あ!ほんまや!これ私の血液検査や!」
オカンも衝撃の事実にテンパっている模様。
「あ、ヒロキのこっちや!うんやっぱり昭和五十九年十月二十九日A型って書いてるわ」
僕が生まれてから四日後に血液検査が行われたんだと知る。
AB型という事実が判明してから最初のライブのMCでそのことを話してみた。
声出しが少しだけ緩和されているツアーではあるものの、その日一番の歓声が上がった。
いや今良く言い過ぎました。
あれは歓声ではない。
確実に悲鳴だった。
ソールドアウトの東京公演の客席からその日一番の悲鳴が上がったのだ。
どの曲の歓声よりも大きかったことは間違いないと思う。
初めてAB型における疎外感を感じた日。
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