[#99] 何とも言えない 『売れたいという矛盾』

『売れたいという矛盾』

人と同じものが嫌いだった。

誰も知らない音楽を聴いているという優越感を聴いていたあの頃。

大阪出身なのにタイガースファンというわけではない。

なのにとにかくジャイアンツが嫌いだった。

初めて買ったギターも誰も知らないようなギター。

音なんて二の次だった。

売れたい。

これは恥ずかしがることが一番恥ずかしいことと分かってからは口にするようにしている。

LEGOBIGMORLは売れたい。

しかしここで矛盾が生じる。

売れるということは皆んながそれを好き、持っているなどの事象が起こることなのだと思う。

人と同じものが嫌いな僕は売れたいと言っていいのだろうか。

共感という言葉が安易に使われるのが嫌いだ。

共に感じる前に、自分で咀嚼し感じた後に共感がやってきてほしい。

「人と同じものが嫌い」という思いを共感するという矛盾を僕は高らかに叫びたいのだ。

こんなこと思っている僕は世界で一人じゃないよね？という確認作業なのだ。

もっとぴったりの言葉を見つけた。

「共鳴」だ。

共鳴したい。

あなたと。

オオカミの遠吠えのように、それぞれの場所で共に鳴きたい。

歌詞で、ライブで。

共に鳴くことをコロナで奪われた期間を通り抜けた先。

あなたと共に鳴きたい。

嗚呼だからLEGOBIGMORLの曲にはシンガロング（一緒に歌う）の曲が多いのか。

コラムを書きながら僕は僕に気づく。

売れたいという叫びは気づいてくれという叫び、共鳴したいという叫び。

矛盾していないし、矛盾点さえも飲み込む叫び、思い。