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[#79] 何とも言えない 『金髪のロン毛』
『金髪のロン毛』
僕のコラムを読んでくれている人はわかるだろう。
ボーカルのキンタさんの話もよく出てくるが、この人の話もよく出てくると。
そうです、うちのオトンの話。
十代の頃の僕が今の僕を見たら腰を抜かすかもしれない。
自分でも思う。
三十半ばの僕が金髪でロン毛だなんて。
十代の僕はなんて思うだろう。
未来の自分はこんなことになっているのか、自分の将来を心配するのか。
大阪の田舎で歩く僕は浮いている。
でも東京だとそんなに浮かない。
ライブハウスだとそれが自然に見える。
でも冠婚葬祭では不自然に見える。
環境というのは恐ろしいものだ。
「うわっ」
たまに僕が実家に帰った時にオトンが僕に放つ第一声だ。
奇抜な髪型はどこの田舎でも馴染まないし理解されない。
汚物を見るかのような目で僕の頭を眺める。
こちらとしても気持ちの良いものではない。
確かに飼っていた老犬のワカメの毛並みの方が綺麗だが、いくら何でもそんな目で見ないで欲しい。
でもよく考えると金髪のことをとやかく言われたことはないと気付く。
色の問題ではない。
つまりロン毛が嫌なようだ。
まぁ言っていることはわかる。
清潔感からは程遠い髪型である自覚もある。
でも清潔感溢れるロックなど、この世にあってたまるものか。
「髪を切れ」
しかしことあるごとにこの台詞を言うのでほぼ無視している。
あなたの髪質に似てしまったおかげで短髪が似合わないのだと言い返そうとしたが、この話を膨らませるつもりもないので飲み込んだ。
僕の想い。
こんなに長い必要はないが、ライブ中に髪がバサバサと動かないとライブをやっている気がしないのだ。
一時期それなりに短髪であったが、ライブ中に髪があまりに動かないので「僕は全力で魂の演奏ができていないのではないか」と思ってしまうことがあった。
もちろんそんなことはないのだが、うねる髪にテンションを上げてもらっている側面もあることに気付く。
それが僕の長髪への想い。
応援してくれている人の好みなどもあると思うがこればっかりは仕方ない。
というか短髪似合わないのでね。
彼なりに考えたんだろう。
昔の人間なのでやはり息子にはさっぱり爽やか短髪でいてもらいたいのだろう。
そしてミュージシャンという人がどのように東京で生活しているのかも、ロックバンドというものもわかってはいない。
改めて僕の髪を眺めながらこう言った。
「金やるから髪切ってくれ~」
大阪人特有のボケなのだろう。
「いや、髪切る金がなくて仕方なく伸ばしてるんじゃないから!!」
と一応大阪人の僕としてもそれなりには突っ込んであげた。
でもよく考えてみると「髪を切るお金もない」バンドマンだと少しでも思われているなら申し訳ない気分になった。
そりゃ親からしたらバンドマンという仕事、東京暮らすということ、ズレた身だしなみ。
全てが未知なのだろう。
髪の毛のカット代のお金もないと心配されてるようではダメだな。
最後に白髪染め以外のカラーはしたことのないであろうオトンに言っておかねばならない。
髪を金髪にブリーチする方がカット代より高いんやで。
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