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[#231] 何とも言えない 『シェイカー』
『シェイカー』
シェイカー【名】シェイカー?
ずっとイライラしていた。
自分への苛立ちを通り越し、周りへの八つ当たり。
フェスというものが市民権を得て、世のバンドもフェスのための曲を量産していた。
僕らは消費されるだけの音楽は作らない。
なんて偉そうなことを言いながらも、そんな状況にイライラしていた。
だけではなくその波に乗り遅れた自分自身にイライラしていた。
もうイライラが街を歩いていた。
イライラをかき集めて人型にし、イライラに服を着させて、イライラに関西弁を喋らせたものが僕だ。
道を外れた者は実はそのことに自分で気付いている。
しかしふり返ってはいけない。
認めてはいけない。
こちらの道がメインストリートだと堂々と歩けばいいのだ。
今はまだここは伸びきった雑草が道とは呼ばせてくれはしないが。
ラジオもテレビもつけられないでいる。
明日もまた何も生まれないが何か生まれるかもしれないスタジオへ向かう。
決して足は軽くはなかった。
でも毎日スタジオに行く。
量産型の音楽よりも、そこから苦悩して生まれたものを信じていたから。
かなり歪んだギター。
ベースも歪んでいる。
イェイイェイ!なんて叫んで始まる曲になるなんて思ってもいなかった。
でもそれは正しかったんだ。
僕のイライラをキンタさんの底抜けの明るさが中和してくれる。
あぁ僕は思う存分撒き散らしていいんだな。
このバランス感覚はなかなか他のバンドにはないものだと思う。
ボーカルが曲を書いて、ギターが歌詞を書く。
デメリットの方が多いのかもと思っていた僕は、改めてこのバンドのバランス感覚を再認識できた。
どちらがメリットが多いとかそんな話ではなく、このバランスで成り立っているバンドの一員なんだからそこを愛そう。
愛そうというか、持って生まれたものなのだと。
外見や性格や性別のようにこれはLEGOという個性なんだな。
なんてことを、こんなフラストレーションを吐き出しただけの曲で再認識できた。
キンタさんありがとう。
よし、ボロクソ言うたるぞ。
サビで高い声が出てるけど音程は怪しい。
繰り返すメロディは覚えやすさのためだけに作られる。
一体感という恐ろしい言葉はその曲に振り付けを装着させる。
読み物としてもよく出来た言葉だが、僕が耳にしたいのは歌詞だ。
読み物や日記じゃない。
言葉を選んではいるが、この手の文句は皆んなが引くくらい僕の中から出てくる。
しかも言葉を選ばなくていいなら尚更。
でもそれは全て「僕は格好悪いです」に直訳される。
つまりはダサいことなんだろう。
文句ばかりの人間なんてダサいのだ。
でも人間味があるとも言えるのではないかと甘えそうになる。
こういう文句を言うなら言う、自虐するならする。
みたいな状態をロックは許してくれるだろうか、包んでくれるだろうか。
だからこそ。
そんな音楽はいらないか!?
意味のないことを叫ぼう!?
一緒に行こう!!
そう訴えかけた。
僕はいつも自分たちの曲にメッセージを込め、そのメッセージを自ら真正面で受け取る。
もうこれだけの時が経った今だから言える話であることに間違いはない。
ただどこかで、こんな人間らしい感情を持っている自分を隠す必要はないとも少し思っていた。
さぁどちらが正解なんでしょうか。
うん、わかってる。
正解なんてない問いだってことくらい。
でも「 Do you wanna rock and roll?」という問いに「YES」と答えてくれる人は置いていかないつもりでここまで来た。
『シェイカー』
同じような音を乗せるエレクトリックなウェイヴ
流行りは今日もまたバカの1つ覚えのようだな
Do you wanna rock and roll?
同じような事を歌う確信的バッドソング
意味のない事を叫んだっていいんじゃない?
Do you wanna rock and roll?
聞くまでもないか?
置いていかないよ
一緒に行こう
YESと答えたら
一緒に行こう
Do you wanna rock and roll?
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