[#207] 何とも言えない 『高くておしゃれなハンドクリーム』

『高くておしゃれなハンドクリーム』

冬は乾燥の季節。

この時期は差し入れにハンドクリームやリップを貰うことも多い。

クリスマスにはぴったりですよね。

自分では買わないような高そうなうやつだ。

高そうなやつは決まって見た目もおしゃれで香りが格段に良い。

ほんまにいつもありがとう。

ジョンマスターズオーガニックってご存知？

まぁ有名ですよね。

おしゃれなシャンプーとかありますよね。

初めてあのシャンプーを使った時はビックリしたものです。

洗えど洗えど泡が立たない。

何だかキシキシした感触もある。

おしゃれなシャンプーとはこうなのかと思ったものです。

そしてそれも香りが格段に良い！

「これめちゃ良い匂いのハンドクリームだよ」

義妹にそう言われて使ってみる。

人からのプレゼントらしい。

高そうな見た目で僕が知っているものよりも伸びる伸びる。

伸びすぎて肩まで塗れそうなほど。

塗り込んで塗り込んでお手手がしっとり。

「やっぱ高そうなハンドクリームは違うなぁ」

香りとは人の感情をコントロールする。

良い香りがしたら気分が良くなるし、臭い匂いはしんどくなる。

たまに臭い匂いがクセになる時もあるから人間ってのはわからないもんです。

とにかく高そうな良い匂いのハンドクリームを纏っている僕はご機嫌であった。

それに気づくまでは。

説明書など読まない性格。

使ってたら何となく覚えていくでしょ。

そんな性格の人が揃うと長い間勘違いを続けることもあるのだ。

僕らがご機嫌に塗り込んでいたハンドクリームはハンドソープだった。

ハンドソープだ。

長い間ずっと塗り込んでいた。

手が荒れないように塗っていたが、逆に荒れそうだ。

よく荒れなかったものだ。

そんなことはどうでもいい。

ただただ情けなかった。

何をご機嫌にずっとハンドソープを手に塗り込んでいたのだ。

伸びる伸びるなど言ってる場合じゃなかった。

その時に異変に気付け。

「やっぱ高そうなハンドクリームは違うなぁ」

じゃない。

バカか俺は。

バカか義妹は。

二人の間に何とも言えない空気が流れた。