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[#205] 何とも言えない 『POP UPで出会って、POP UPを共にする~こだわり抜いた香りと詩を~』
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『POP UPで出会って、POP UPを共にする~こだわり抜いた香りと詩を~』
下北沢のbonus track。
KITSUのPOP UPでよくお世話になる場所だ。
おしゃれな仕様で、駅から少しだけ歩いた場所にあるため落ち着いてる。
ガチャガチャしていないのだ。
少し大人なのだ。
精神年齢が子供のままの僕だからこそ大人びた雰囲気に憧れるのだ。
緑もあって、風が通る。
東京にもそんな場所は意外とある。
僕は作詞家であり、吃音者でもある。
彼は文筆家であり、調香家でもある。
同じ言葉を扱う者。
そして目には見えない吃音と、目には見えない香りはとても親和性がある。
せっかくKITSUで知り合ったんだ。
「一緒に何か作りませんか?」
僕から勇気を振り絞って声をかけた。
仕事を共にするのだ。
もちろんKITSU目当てじゃない人もbonus trackには沢山いる。
他の店を楽しむ人、散歩している人など。
いつも借りているスペースには奥にトイレがあり、KITSUに興味がなくともトイレ利用後にアイテムをみてくれる人も多い。
実はこれすごく嬉しいし、助かっているシステム。
僕もKITSU目当てか、トイレ目当てか段々わかるようになってきた。
あるPOP UPで小さな女の子とそのご両親が入ってきてくれた。
たぶんKITSU目当てではない。
散歩ついでにフラッと入ってきてくれた様子だ。
「吃音症って知ってますか?」
そういう人には僕はいつもいらっしゃいませの代わりにこう声をかける。
吃音のことやKITSUのことを話しているととても興味を持ってくれた上、そのご夫婦とは共通の知り合いもいることがわかった。
小さな女の子はそんな大人同士の会話に飽きてしまうこともなく可愛いお目目で店内をキョロキョロ見渡す。
今回のPOP UPでご一緒するのはそんな素敵なご家族のパパの文香ヒロさんだ。
その日の出会いからプライベートでもご飯に行ったり、先輩パパとしてもアドバイスをもらったりしている。
POP UPはこうでなくちゃ。
新たな出会い最高。
この歳で新しいお友達ができること、吃音を知ってもらうこと。
こんな嬉しいことはない。
一緒にKITSUの香りを作ろう。
そしてお互い”詩”をしたためよう。
いい香りを作るのはもちろん、そこに僕とヒロさんが作る意味を見い出す。
打ち合わせはリモートも入れると十回以上はしたんじゃないかな。
まず何をしたかと言うと、なんとインタビュー。
ヒロさんから香りの方向性はもちろんKITSUへの思いなどインタビューされるのだ。
しかも事前にヒロさんは吃音の本を何冊も読んで勉強してくれていた。
もう愛しかない。
彼とKITSUにおける三つの要素をまとめた。
これらを香りと詩に落とし込む。
●グラデーション
●ユニセックス
●確かな重さと、明るい軽やかさ
簡単に説明していこう。
●グラデーション
まずこれは吃音にまつわるものと、僕がLEGOの歌詞でも書いた全ては繋がっているという思想から来る。
症状の軽度、その日ごとの調子、個性なのか障害なのか、知ってほしい知られたくないなど。
その全てはグラデーションなのだ。
●ユニセックス
僕のKITSUのコンセプトとしては”KITSUが生活の一部に、日常に溶け込んでほしい”である。
それは洋服も文章も吃音も音楽も。
そこに性別の区切りなんてない。
●確かな重さと、明るい軽やかさ
気取らずに普段使いして欲しいという思いは吃音を知ってほしい気持ちに似ている。
そう難しく考えずに吃音症ってのがあるんだと知って欲しい。
その吃音という確かにここにある軽くはない存在と、纏うと少しスキップしたくなるような香り。
僕は目指す香りをこのように言語化した。
また打ち合わせを重ねる。
蚊に刺されながらの打ち合わせもあったのであれは夏から始まっていた。(香りの打ち合わせは店内だと迷惑がかかるので野外で行った)
大袈裟ではなく五十種類以上の香りを嗅いでKITSUだけの香りを求めた。
しかもそれを配合していくので無限の選択肢がある。
でもその時間は全て楽しい。
そしてお互いPOP UPに向けて詩を書くことに。
まずはヒロさんから、それを受けて僕が書いた。
最後の打ち合わせの日は少し寂しかった。
もう彼と待ち合わせして香りや言葉についてあーだこーだ言う日も今日で最後かと。
香りとは最初の段階と、少し時間が経ってから、何時間も後、で香り方が変わってくる。
僕は瞬間的な派手さよりも持続性を重視した。
吃音の支援と同じように。
まず三十五種類もの香りが調合されている。
そしてメインとなる香りは”ヒバ”。
これは青森に多いヒノキ科の木で僕が大好きな香りだ。
ここからKITSUらしさを三十五種類も調合し製品となった。
何度も試作し、比べた。
是非POP UPで嗅いでみてほしい。
でも時間が経った時の香りも嗅いでみてほしい。
つまりはゲットして帰ってほしいのだ。
こんなにこだわったんだから。
あなたがあなたでいたい場所や時にスプレーしてほしい。
詩について。
詩が書かれたカードが入っている。
そこにミニボトルの香りをワンプッシュしてみてほしい。
言葉が躍る。
香りと詩を持って帰ってもらいたい。
アパレルももちろん新作がある。
アイテム全て、そしてこの二日間の時間。
その全てが来てくれる人へのクリスマスプレゼントになればいいなと心から思っている。
新作発表もPOP UPもいつ慣れるんやろか。
あーーーー緊張する。
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