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    [#190] 何とも言えない 『夏なんて~POP UPが終わった~』

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    KITSU

    2024/08/26 19:00

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    『夏なんて~POP UPが終わった~』

     

    玄関を開ける。

    ムワッとした空気に突入する形で外出する。

    仕事でも遊びでも家を出た瞬間汗が止まらない。

    日本の夏が最近おかしなことになっている。

    十年後とか、夏に外に出ることが条例違反になるんじゃないかという暑さだ。

     

    ライブの次の日にPOP UPをやる機会が多い。

    これには理由が二つある。

    まず来てくれる人が来やすいため。

    東京で店をやる場合、前の日が東京でライブだと遠征してきてくれた人にも親切なんじゃないかなと思ってのこと。

    また交通費かけて来てもらうもの申し訳ないしね。

    そしてもう一つはワンマンの次の日はバンドの仕事が休みのことが多いため。

    KITSUをやる上で僕の命題は”バンドに迷惑をかけない”だ。

    なのでKITSUの予定のせいでバンドの仕事を断りたくない。

    でもスケジュールを確保する上で前からバンドの仕事がない日が決まっている日は少ない。

    なのでいつも休みの可能性が高いワンマンライブの次の日なのだ。

     

    今年から日傘デビューしました。

    日傘男子というやつですね。

    これは確かに効果がある気がする。

    荷物が増えるのはとても嫌だが、めんどくさがりの僕は日焼け止めを塗る煩わしさよりも折り畳みの日傘を持ち歩くことを選んだ。

     

    これにはもう一つ効果があった。

    最近ゲリラ雷雨多すぎません?

    昔こんなにありました?

    出先でのゲリラ雷雨に日傘が僕を助けてくれるんです。

    昼間は日傘、帰宅時は雨用の傘。

    今年の夏また一つ新しい発見がありました。

     

    「私も吃音で、失礼ながらLEGOBIGMORLさんはあまり知らなくて。。。」

    そんな嬉しいことを言ってくれる人が増えて来ている気がする。

    LEGOBIGMORLさんを知らないことを嬉しいと言ってはいけないのだが。

    でもこの僕の気持ちや言っていることは理解してくれますよね?

    吃音症のいう入口からKITSUを知って、LEGOBIGMORLを知ってくれた人たちが増えてきているのだ。

    拡がっている。

    実感が形となって僕の前に立っている。

    しかも一人や二人ではない。

    先日のコラムで書いた吃音のバンドのスタッフさんも来てくれた。

    東京言友会の人も来てくれた。

    前にも言ったがPOP UPとは感謝の日なのだ。

     

    家族が増える。

    これから洗濯物の量がとんでもなく増えるんだろうな。

    そう思っていた。

    いや、違う。

    洗濯物は生まれる前から増えるのだ!!!

    そんなこと知りまへんでしたわ。

    「水通し」ってやつですね。

    タオルでも新品のものは水を吸わないから一回洗っておく的な。

    それです。

    で、その一つ一つが小さいこと小さいこと。

    靴下なんて洗濯カゴの中で見失うくらいだ。

    それを午前中にベランダで干す。

    数年前まで午後に起きていた男が、だ。

     

    いつもいつもPOP UPに来てくれる人が差し入れをくれる。

    もちろん手ぶらで来てほしいくらいだ。

    申し訳ないから。

    でも頂くことも正直多い。

    いつもありがとう。

    ただ今回はいつもと違った。

    家に帰り、その日のうちに頂いた手紙を全て読む。

    そして荷物を整理しているとビックリした。

    なんと産まれてくる赤ちゃんへの差し入れや奥さんへの物がとても多いのだ。

    なんだって嬉しいし、POP UPに来てくれてるだけで最高に嬉しい。

    でもこの気持ちはちょっと種類が違う。

    柔らかい表情になっているであろう僕は一つ一つ丁寧に開けていく。

    疲れは感じなくなった。

    もう良い大人なのできちんとお返しをしたいんですが、その術がわからずにいます。

    何かいい方法ないでしょうかね。

     

    朝の匂いが好きだ。

    昔徹夜で飲んで始発で家に帰る時の朝の匂いとは比べ物にならない。

    あれは夜の続きという名の朝。

    今僕が言っているのは昨日をリセットしてくれた朝の話。

    夏のそれは特に好きだ。

    まだムワッとした空気が出来上がる前。

    それでも暑いことには変わりない。

    物干し竿に僕のでかいTシャツと小さいヨダレかけが並んで揺れる。

     

    夏は嫌いとか言いながら朝のベランダの匂いが変わっていることに気づいた。

    それは真夏のそれとは違う。

    暑さの中に寂しさを孕んだ匂い。

    ツアーがもうすぐ終わる寂しさとPOP UPの充実感と子供が産まれる待ち遠しさ。

    過去、現在、未来。

    その全てを終わりかけの夏が表してくれている気がして、思い切り空気を吸い込んだ。

    とか言いながらまだまだ暑い暑いと文句を垂れる日々は続くんだと思う。

    そんな日々をこれからも一緒にいてくれたらと思う人がライブやPOP UPには揃っていた。

     

    心が満たされた分、身体は重すぎる。

    そんな日曜日の正午、この文章を書いている。

    昨日来ていたKITSUのTシャツが夏の空気を吸い込んでベランダで揺れる。

     

     

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