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[#187] 何とも言えない 『エモいツアーをやってみた』
『エモいツアーをやってみた』
名古屋からの東京へ向かう高速道路。
夏休みの日曜日の夜。
厚木あたりで事故があり物凄い渋滞。
車内の空気はどんより。
まだ東京と福岡が残っている。
四ヶ所に向けての想いと、二ヶ所を終えて得た感覚は述べたい。
安心してくれ。
ネタバレなんてしない。
でも言えることは言う。
しかもあえて汚い言葉というか下ネタで例えさせてもらう。
それは「久々にステージでメンバーがオナニーをしている」ということ。
もちろん来てくれた人全員を満足させたいのは大前提。
いつも僕らは愛のあるSEXに精出したり、と三木道三スタイルでライブをしている。
(三木道三わからない人はググってくれ)
でも僕らがステージで「エモいな!」「気持ちいいな!」「これ伝わるかわからんけどかっこいいな!」などなど。
そんなライブは実は久しぶりな気がする。
前日は忘れのサポートギターだったので僕だけ行きは新幹線移動だった。
忘れでやってることと、LEGOでやることはギターを弾くという行為以外は全然違うので脳みそを切り替える必要がある。
新幹線が富士山を通過する頃にはきちんとLEGOモードになった。
新大阪駅に着く時、一緒に隣の外国人観光客が席を立った。
彼は座席の前のネットにゴミをそのまま放置して出口へ向かう。
嫌な気分になったし、それを注意できなかった自分も嫌になった。
演奏中。
僕はこのまま灰になるのかもと思った。
実際死ぬわけにはいかないのだが。
でもこのまま目を瞑ったまま音に身を任せて暴れてステージから落ちたり、機材に頭を強打したり。
色んなことが起こりそうなくらい暴れていると「まぁそれでもいいか」と心から思う瞬間がある。
ただ今回のツアーはそのシーンが多すぎる。
これは心も体も持たない気がする。
そんなツアーだ。
新大阪からシャングリラにはタクシーで向かう。
運転者さんの大阪弁に落ち着いてしまうのはまだ僕は関西人であるということ。
「今日は淀川の花火やから夕方以降は道が偉いことになりまっせ」
運転手さんは言う。
「今日の夜、仕事終わりに名古屋に向かうんですよ」
と言う僕に対して渋滞を避けることのできるルートをたくさん教えてくれた。
「名古屋まで無事に辿り着けるよう祈っときまっさかい」
コテコテの大阪弁でそう言ってくれた。
梅田は快晴。
「お兄さんこんな土曜日に仕事なんて偉いでんなぁ」
お兄さんと言ってもらえたことに嬉しさを感じつつも。
「おっちゃんも土曜日やのに僕を乗せてこうして仕事してますやん」
と僕が言う。
二人で笑い合ってタクシーを降りた。
あと二回しかこのツアーが終わる。
嫌だ。
まぁ自分たちで本数を決めているんだから自分のせいなんだが。
でも今更ながら本人が言わせてもらう。
「あと二回だけなんてもったいない」
まぁこればかりは仕方ない。
全員あと二本のライブを心と体で感じまくってもらうしかない。
渋滞をくぐり抜けたらいつもよりアクセルを踏んでいる自分がいた。
今までのノロノロ運転に嫌気が差したハイエースはトンネルに突入。
等間隔に光るライト。
それは地球の芯(CORE)に続くトンネル。
深く、深く。
このまま行けるとこまで行こう。
色んなことが起こりそうなくらいのスピードで走ると「まぁそれでもいいか」と思ってしまいそうで怖い。
ツアーは全員が無事家に帰るまでがツアーなのだ。
でもそんな変なことを考えちゃうくらいだからお客さんと同じように僕の脳も溶けていたんだろう。
気づけばドロっと泥のようにとろけて家のベッドで寝ていた。
月曜日の朝。
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