[#176] 何とも言えない 『POP UPの余談』

『POP UPの余談』

POP UPには色んな人が来る。

外国人観光客や散歩中の老夫婦、赤ちゃん連れの家族など。

これらの人々はもちろん僕のことなど知らずにKITSUのアイテムを見てくれている。

日本には色んなスターがいる。

音楽界にも、芸能界にも、スポーツ界にも。

何でもかんでもスターと言ったり、何でもかんでも天才と言ったりするのは嫌いだ。

スターや天才はそんなにたくさんいてはいけない。

少ないからこそスターなのだ。

誰のことかは言えない。

ごめん。

でも間違いなくスター。

スターがKITSUのPOP UPに来た。

「は？」

って感じだった。

スターがKITSUの洋服を見ている。

そして一着持って試着室に入った。

「ごゆっくり」

そう言ってカーテンを閉めてもまだ現実感はない。

スタッフに小声で聞いてみた。

「今この中におるの〇〇さんよね？」

スタッフが答える。

「うん、間違いなくそうだけど意味不明な状況だね」

ボーナストラックは下北沢にある。

東京のど真ん中。

大阪府羽曳野市出身の僕としては驚くことばかりだ。

羽曳野の中学ではハーフの人が入学しただけで大騒ぎになっていたのに。

ちなみにそのハーフとはダルビッシュ有。

でもその時はまだ無名なので、単純にハーフの人という意味で騒がれていたのだ。

「これいいね！これ買ってくよ！」

試着室からスターが僕の作った服を着て出てきた。

これはリキッドで疲れ果てた僕がまだ寝ていて見ている夢なのかと思った。

それなら寝坊だし大遅刻だ。

でも現実なのだ。

わけがわからん状況の中、スターがレジで会計をしている。

POP UPには色んな人が来る。

天気がいい。

そんな下北沢ボーナストラックは散歩には最高の場所だ。

風が通る。

コーヒーもお酒もある。

下北沢の若者たちがたむろする中心からは離れているためゆったりとした時間が流れる。

緑もある。

しかしまさか昼間から空に輝く星（スター）が見えるとは思わなかった。

何を買ってくれたかも言えないがKITSUの人気アイテム。

皆さんスターとお揃いです。