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[#166] 何とも言えない 『明日へ』
『明日へ』
明るいニュースは1つもないな。
そんな午後は晴れてしまった。
容易く険しく、美しく不潔だ。
矛盾が普通だという矛盾だけがここに。
トラウマになる。
そう思ってテレビを消した。
いい大人なのに。
子供の頃に経験した震災とは感じ方が違う。
あの頃は僕らは守られていた。
大人たちに。
社会に。
今回は誰かを守る側になれるだろうか。
雨は夜通し降り続いてた。
朝にあがって街は光った。
昨日を洗って濡れたままの今日。
ここに見えるものだけは綺麗だったんだ。
雨が打ち落として散った花びら。
アスファルトにへばり付くも綺麗だ。
まだ咲かぬ蕾は春に会えるのかそれとも。
近所からガソリンの匂いがした。
咲くことも許されぬ花が蕾のまま涙を流すこともできずただ萎れる。
咲き誇る花もいつかはまた虚しく枯れる不公平に何を歌えば?
あれ?
世の中って真面目な人ほど損をするのかな?
こんな思いたくもない思いが重い。
明るいニュースが1つあった。
僕の冗談に君が笑った。
昨日を追い越し今日がまた明日。
矛盾し、美しいこの世界を生きるしかない。
僕も矛盾しているのだから、それを否定したら僕が居なくなってしまうよ。
少し遠いコンビニに向かう。
「いらっしゃいませ」
あ、僕はまだ居るんだ。
誰かが捨てたコンビニ袋が意志を持っているかのように風に煽られ舞っていた。
そんなゴミも綺麗だ。
咲くことを許された僕は血を、涙を流すように声を絞る。
咲き誇る君を目指しいつか僕のものにと願い。
声を枯らし、潰し、明日へ、明日へ、明日へ。
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