ハートをおくったユーザー

ハートをおくったユーザーはいません

    [#159] 何とも言えない 『それぞれの地図を描いた』

    KITSU

    2024/01/22 19:00

    フォロー

    『それぞれの地図を描いた』

     

    最近年末に演奏することが多くて。

    それでいて今年はキーボードに成瀬さんが入ってくれて。

    この曲の歌詞を改めて読み直したら素晴らしくて。

    完成に至るまでのメモを読み返したらあの頃にタイムスリップして。

    コラムを読んでくれるあなたも連れて行きたくて。

     

    夕方僕らは綺麗な影を身に纏う。

    手を振る姿を各駅の電車が遮る。

    新しい地図はない。

    雲はどこまでも自由。

     

    山梨の山の静けさは恐怖。

    霧がかる奥に野生の目が光る。

    ここは生命が命懸けで暮らす世界。

    そんなことを思い知らされる。

    それと同時にお前は命懸けで暮らしているのかと問われる。

    コンビニまで二十五分。

    山を降りてそこから一本道。

    降りたということは登らなければいけない。

     

    このまま僕らをどこか連れ去ってよ。

    さよなら。

    また会おう。

    もう行かなきゃいけないな。

     

    才能なんてない。

    そろそろ勘違いにも気づいていた。

    でも産み出す。

    山梨に軟禁状態の僕らは音と言葉を絞り出す。

    壊れかけていた僕らを繋ぎ止めるために。

     

    時が過ぎたら君を思い出せなくなる。

    影が長く伸びて、それを思い知るんだ。

    懐かしいキスはない。

    人はどこまでも自由。

     

    窓には夜露が僕らを誘ってる。

    なぞる指先でそれぞれの地図を描いた。

    地図が指す場所は同じか、それとも。

     

    富士山は見えない。

    そんなに甘くはない。

    天気はいつも悪い。

    コンビニだけが楽しみ。

    往復五十分だとしても。

    そんな道で鹿が死んでいた。

    恐らく車に轢かれたのだろう。

    山で命懸けで暮らす彼らの最後としてはあまりにも悲しい。

    命懸けの意味が違う気がする。

     

    無くしたものは数えなくていい。

    潰れてしまうから。

    目を背けたっていい。

    生きてるだけで偉い。

    好きでやってるんだから辞めたっていい。

    バンドなんてそんなもんだ。

    でも僕らはリユニオンすることに決めた。

    男は決めたならやり遂げなければいけない。

     

     

    こちらのコラムが気に入った方はハートでのご支援をお願いします。

    支援金の一部は、吃音症で苦しむ方々のNPO法人へ寄付されます。

     
     

    ページを報告する

    コピーしました

    コピーしました