[#155] 何とも言えない 『十二月に鳴った音』

『十二月に鳴った音』

あなたのお名前はなんですか？

どんな意味が込められていますか？

呼び合える名前は誰にでもある。

名前を持たない人なんているのだろうか。

（いたらすみません）

吾輩は猫である。

名前はまだない。

くらいしか思いつかない。

それぞれがそれぞれに大切に親から授けられた名前がある。

美しく素敵な意味や想いが込められているに違いない。

まだこの気持ちを言語化できる学力が僕にはない。

そんな場面がよくある。

いや、学力の問題ではない。

多分まだこの世にはそんな言葉ないのだ。

全部が全部言語化されてたまるか。

どちらにせよ黙り込んでしまうことがある。

色気とは黙ることと誰かが言っていた。

言葉なんていらない。

でも声は聞きたいもんだな。

そんな時どうする。

離れないとか、愛しているとか。

さらっと言えたらかっこいいんだろうな。

でも恥ずかしいから言わない。

だからそんな時はただあなたの名前を呼ぼう。

それは離れないとか、愛していると同意。

返事をしてよ。

大昔に友達が言ってたんだ。

好きとか、かっこいいとか、可愛いとか、面白いとか、優しいとか。

色んな褒め言葉があるけど。

言われて一番嬉しい言葉って自分の名前だと思う。

飲みの席で不意に聞いたその話で僕の良いは少し冷めて気付けば携帯にメモっていた。

いつか歌詞にしよう。

それは転がっている幸せに気づけるかどうか。

そんな作業に似ている。

叶わないとか、もう無理とか。

ネガティブなこと言わないでよ。

自分も言うくせに大切な人が言っていると心配になる。

そんな時はいつでも僕を呼んでよ。

名前を呼んでよ。

いつでも行くよ。

そして駆け付けたなら名前以外に何を話そう？

生まれた時に音がする。

たぶん両親にしか聞こえない音。

産婦人科の先生には聞こえない音。

その響きが僕らを示す名前をなる。

僕は生まれてから死ぬまで何度、大切な人の名前を呼ぶのだろう。

僕は生まれてから死ぬまで何度、大切な人に名前を呼んでもらえるのだろう。