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[#136] 何とも言えない 『本厚木だと!?』
『本厚木だと!?』
八月五日。
もう何回目になるだろうか。
皆様からの想いをきちんと届ける寄付の日がやってきた。
普段からステージでギター弾いて喋ってるんだから慣れたもんでしょ。
決まった時はそう思っていた。
会場に少し遅れて着いてしまった。
申し訳ない。
汗だくで会場に着くとスタッフの方が楽屋に案内してくれた。
僕みたいな者に楽屋なんていらないのに申し訳ないなと思った。
若い人から年配の方、男性も女性も。
ここにいるすべての人が「吃音当事者」もしくは「吃音に関心がある人」なのだ。
日本で一番大きく歴史のある吃音のNPO法人「言友会」
僕は以前からいつか寄付したいと思っていた。
しかし簡単に言うとビビっていた。
歴史があり厳格な組織で年配の方ばかりで、僕のような常識のない人間を受け入れてくれるとは思っていなかったからだ。
これは僕の大きな偏見であることは後に気づくのだ。
やはり偏見とは良くないな。
反省だ。
新宿から小田急線に乗る。
慣れない色の電車といつもと座り心地の違うシートに居心地の悪さを感じる。
今から向かう会場の居心地の悪さを暗示しているのかと考え過ぎてしまう。(これも偏見)
神奈川に行くこともライブ以外では少ない。
厚木という地名は知っている。
よく聞く地名だ。
大きな街なんだろう。
厚木駅は思ったよりこじんまりしていて田舎者の僕を安心させる。
その雰囲気と夏の日差しが相まって噴き出す汗すら愛おしかった。
Googleマップで会場の場所を確認する。
あれ?徒歩三分のはずが、何十分もかかる位置にあるぞ。
ん?
え?
あれ?
背中に汗が滝のように流れた。
昔この時期に家族で行ったBBQにもこんな滝があったなと一瞬頭に浮かんだ。
ここは厚木駅で、降りるべき駅は本厚木駅だった。
理由は分かりきっている。
緊張しているのだ。
電車の中で話すべきことを考えたり整理したり復唱したり。
でもこんなことは何の言い訳にもならない。
少し遅刻してしまったのはこれが原因なのだ、
スタッフの皆様申し訳ありません。
たくさん話した。
壇上でマイクを持って偉そうに、会場を移してからジュースを飲みながらざっくばらんに。
そのどれもが貴重な時間だった。
寄付をすると大きな拍手を貰った。
でもこれは代わりに僕が浴びてしまったけど本当はこれを読んでくれている人、洋服を買ってくれた人、コラムに支援してくれた人が浴びるべき拍手だ。
なので僕はこれを書きながら一度手を止め、あなたに拍手をします。
(拍手)
実際の寄付の様子はまた改めて動画でアップさせてもらえたらと思います。
会場から本厚木駅に向かう。
あとは帰宅するのみ。
その日は花火大会があるらしく人でごった返した駅前。
僕はその波に逆らう形。
駅から溢れ出てくる大量の人。
駅に入って行こうとする僕。
気付けば、言友会での時間と寄付ができた喜びでそこにいる誰よりも胸を張って歩いていた。
家に着き缶ビールを開け、あとは泥のように寝た。
僕にお疲れ様と言いたい。
(お疲れ)
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