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[#137] 何とも言えない 『海外旅行』
『海外旅行』
行ったことがない。
海外旅行に。
恥ずかしい。
人生で海外に行ったのは韓国だけ。
しかもそれは仕事で。
韓国でライブをした。
それはそれはとても良い経験で、何より楽しかった。
全てスタッフやコーディネーターが不都合のないように手配してくれた。
しかも個人的に韓国語がペラペラな僕の幼馴染が韓国に住んでいたため専属の通訳さんくらい滞在期間は横に居てくれた。
パスポートさえ自分で用意すればあとは一円も払わずに、何の手続きもせずに、気付いたら国境を超えていた。
なので海外には一回、しかも仕事で、しかも距離も近い韓国。
もちろん多少の観光はしたが海外旅行とは違うのだろう。
ここまで言いながら僕は海外旅行に興味がない。
例えば十万円で海外に行けるとしても、僕は国内でご飯や宿を少し贅沢するのにお金や時間を使いたい。
語弊を恐れずに言うと、何でわざわざ大きいお金と休みを使って言葉も通じない、食事も合わない、ストレスのかかる場所に行かなければならないのかと思う。
僕はすぐにテンパるし、英語もできないし、食べ物の好き嫌いも激しいし、性格もズケズケ行けるタイプでもない。
絶対にストレスだらけの日々になるに違いないのだ。
飛行機の搭乗にテンパり汗だくの自分が想像できる。
顔を真っ赤にしながらできない英語で注文し、思っていたものと違うご飯が出てくる未来が見える。
何も口に合うものがなくずっとマクドを食べている自分が想像できる。
冒険心もなく結局ベタな観光地だけ行ってホテルに篭っている自分が想像出来る。
それに引き換え。
日本の美味しいご飯や素晴らしい景色。
世界一安全な国で贅沢にお金も時間も使う。
そちらに魅力を感じてしまう。
海外でしか経験できないものもあるだろう。
でもそれよりも勝るストレスを考えるだけで国内の温泉サイトを眺めている夜。
ここまで偉そうなことを述べ続けて申し訳ない。
本当は飛行機のテンパり、片言のコミュニケーション、口に合わないご飯、未知の場所への好奇心。
それら全て絶対に人間といて、ミュージシャンとして経験していた方が良いに決まっている。
そんなことは知っている。
でも自分を正当化していないと背骨を抜かれたように立っていられなくなりそうなのだ。
人間は変化を恐れる。
海外なんて変化どころか価値観や常識までひっくり返される(らしい)。
僕は変化を恐れる典型的なしょうもない人間なのだ。
そんな性格の自分が嫌になる。
誰か僕を海外に引っ張って行ってくれ。
でもそれでは意味がないこともわかっている。
その国のライブハウスに入ってみたい。
日本にない建物を見てみたい。
経験したことない気温や湿気を感じてみたい。
海外の人の暖かさに触れてみたい。
海外でサッカーを見てみたい。
海外のゴルフ場をラウンドしてみたい。
海外の古着屋さんに行ってみたい。
絶対いらんのにお土産感覚でダサいTシャツを買ってみたい。
たくさんやりたいことがある。
海外に興味がないなんて嘘をついてすみませんでした。
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