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[#129] 何とも言えない 『ヌートバー』
『ヌートバー』
歓喜の瞬間、僕はサポートギターの最終リハーサルスタジオに居た。
スマホでも中継が観れるなんてすごいね。
同じくサポートドラムとして現場に居たキートークの八木ちゃんはかなりの野球通。
彼と僕のスマホ画面にかじりつく。
一応それまでに機材のセッティングは済ませておいた。
飲み物を買いに行こうとコンビニに行く道中も。
ファミリーマートの店内も。
レジでも。
八木ちゃんは僕の守護霊のように背後から小さなスマホの画面を覗き込んだ。
もう少しでリハーサルが始まるという時、大谷がトラウトからスライダーで三振を取り僕と八木ちゃんは歓喜の声を上げた。
喜びすぎて大谷がグローブと帽子をかっこよく投げたことを後で知ることになる。
大阪では友達のお母さんのことを「◯◯のおばちゃん」と呼ぶ。
前にコラムに書いたことのある幼馴染の藤田のおばちゃん。
そのおばちゃんはど天然でそのエピソードは前にも書いたかと思うが、その藤田の奥さんもど天然なのだ。
おばちゃんとその奥さんは血こそ繋がっていないが、何だか血は争えない。
社会現象。
ワイドショーはどこもWBCの話題。
スポーツがまた僕らに元気をくれる。
もちろん興味もなく嫌気が差している人もいることもわかっている。
でもやはり野球が日本人に与える何かしらのパワーというものがあるのは間違いない。
その中でもヌートバー選手の存在はイカしていた。
日本代表の一番バッター、リードオフマンがヌートバーってのが良い。
それを受け入れる周りの選手たちの雰囲気も素晴らしかった。
スター同士が戯れている様子ってのは見ていて興奮する。
矢沢のライブにB’zがサプライズ出演した時のようだ。
SMAPが五人だけで大阪に旅行に行った番組のようだ。
それにしても今年はスターと呼ばれる人が亡くなるというニュースが多い。
悲しいが、スターらしい最期もまた輝いていた。
そしてまたまだ見ぬ新たなスターが生まれていっているのだろう。
話が脱線してしまった気がするが、本当の意味では脱線していないと思っているから筆を止めないでいる。
LINEが届いた。
綺麗な川の写真だ。
藤田家は今休みを利用して金沢に旅行に行っているらしい。
写真と一緒に文章がある。
「金沢に旅行に来ているのですが川にヌートバーがいました。生態系の崩壊を憂いています。」
この文章がめちゃくちゃ怖かった。
その川の写真の端には茶色い動物のようなものが確かに写っていた。
茶色い毛が水で濡れ黒く光る。
その動物のようなものは恐らくヌートリアだ。
どう見ても侍ジャパンの一番バッターではない。
こういう天然はよくある人なのだけれど、そんな自分の母親と同じような天然ボケの女性を奥さんに選んだ幼馴染の藤田に何だか心が緩んでしまうのである。
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