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[#72] 何とも言えない 『冒険』
『冒険』
男に生まれた以上、道なき道を行きたい。
見たことのない景色を見たい。
思い描くことはそんな男らしいことだが、現実はついてはこない。
ちなみに男らしいとか、女らしいという言葉が今の時代的に適していないというのは理解した上で書いている。
そのことについては機会があれば別のコラムで書いてみたい題材ではある。
冒険心ってのはどこから生まれてくる心なのか。
生まれながらに持っているのか。
幼い頃の成功や失敗から芽生えるものなのか。
そんな心が少しあるなら僕の人生は良くも悪くも変化しているに違いない。
人生は選択の連続。
その度にアンパイな選択を繰り返した先に今の僕がある。
そう言いたいところだが。
「バンドで食っていく」なんていう人生の大きな決断は少ない冒険心を振り絞ってフル動員してしまったのだから一概に冒険心がないとも言えないのかもしれない。
もう僕の冒険心は底をついている。
冒険心がないというのは恥ずかしいことなのか。
それはどうかわからないが、事実としてこれを書きながら少し恥ずかしいと思っているのだ。
あえて違う道を通るなんて僕には考えられない。
その情緒は理解できる。
「知らない道を通るとこんな素敵な景色に会えた」みたいな。
しかし迷ったらどうしようと思うと絶対に来た道を引き返す。
僕の姿はかっこいいのだろうか。
松屋によく行く。
サッと昼ごはんを食べたい時、何を食べるか考えるのも面倒臭い時。
そんな時は迷わず松屋だ。
お世話になっています。
食券を買う機械の操作も慣れたものだ。
新メニューのポスターが店内にはデカデカと貼られ、タッチパネルを押す指が迷う。
もしくは今日は牛丼ではなく定食ってのもアリだな。
いや、松屋のカレーは美味いと聞く。
あえてのカレーってのもアリだ。
脳内では入念な会議が行われるが、議長が下した判断は「おろしポン酢牛丼」
結局僕は松屋ではこの「おろしポン酢牛丼」しか食べないのだ。
わかってはいるが、一応会議は開くのだ。
でも僕という議長は一択なのだ。
先に答えが出ている会議ほど意味のないものはない。
誰もみな冒険者だ。
人生には帰り道なんてないからだ。
死までの片道切符。
なので来た道を帰るなんて出来ないのだ。
僕は冒険心のない冒険者なのだ。
冒険の途中、あなたという同志に会えて嬉しい。
あなたも冒険心なんてない冒険者ですよね?
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