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[#284] 何とも言えない『園児たちから逃げろ!』
『園児たちから逃げろ!』
仕事で忙しいから子供を保育園に預けている。
もちろんそうだ。
でも僕の場合は家で仕事もあるし、昼からリハーサルもあるし、スーツは着ないし、金髪やし。
送り迎えも頻繁に行く。
なるべくその時間までに仕事を終わらせるし、逆にライブの日は絶対にお迎えに行けない。
直接聞かれたことはないが、保育士さんたちは心の中ではこう思っているはず。
「なんのお仕事されてるんですか?」
いつも朝に会うパパたちはスーツやジャケットの人が多い。
いくら東京は自由業の人が多いと言っても僕は浮いている。
保育園で娘が被っている帽子の色は把握している。
同じクラスの子供たちは全員その帽子を被って、公園にお散歩に出かける。
まだ二歳にもなっていない集団を、毎日安全に公園まで連れて行ってくれる先生たちには感謝しかない。
僕にとってのオシャレは、誰かから見るとふざけた格好のこともある。
というか、そう捉えられることも多い。
送り迎えの時は当たり障りない格好をしているつもりだが、仕事に行く時は好きな格好をしている。
その日がバンドの撮影の仕事だったらなおさらだ。
駅まで向かう道。
眩しくてサングラスもしている。
そんな時、遠くに娘のクラスの集団が見える。
僕はそそくさと道を変え、遠くから娘をやり過ごす。
娘にも、先生にもバレないように。
別にバレてはいけないわけではない。
しかし冒頭に言ったように。
仕事で忙しいから子供を保育園に預けている。
という大前提が崩れそうな可能性を減らしている行動なのだ。
もちろん、仕事に行くからその大前提は崩れない。
しかし僕の格好や、その時間帯などから「こいつ遊びに行くのか?暇なのか?」と思われかねないと自覚はしている。
そんなことは言われるわけないのだが疑問すら持たれたくない。
晴れた日仕事に向かうために曲がり角を曲がる。
その瞬間に園児たちの集団。
帽子の色は娘のクラスの色。
「パパ!!!」
一瞬で娘に気づかれ指を指される。
めちゃくちゃ嬉しい気持ちと、バレてしまった気まずい気持ちの半々の苦笑い。
「〇〇ちゃんのパパだねー!」
先生たちも僕に向かって言う。
やめてくれ!
恥ずかしい!
近くにあった車の窓に映る自分を見て一層ゾッとしたからだ。
ディズニーのキャラが総出のキャップに、信じられないくらいオーバーサイズの真っ赤なブルゾンに、短パンに、サングラス。
キーチェーンをジャラジャラ垂らし、黒い大きなヘッドホンが耳に見える僕はまるで偽物or悪者のミッキーマウスだ。
「こここ、こんにちは!っっp、パ、パパはおおお仕事行ってくるね!!!!」
吃音が出た。
焦っていたのだろう。
そして聞かれてもないのに仕事に行くと強調した。
しかも焦りから僕の声のボリュームはバグっていて大声だったように思う。
娘とクラス全員と先生たちに「バイバーイ!」と見送られ駅に向かう。
次の保育園のお迎えは絶対地味な格好で行こう。
そう誓った。
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