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[#274] 何とも言えない『ばあちゃんのうどんが食べたい』
『ばあちゃんのうどんが食べたい』
心臓の居場所は聴いてくれる人の心臓をドキドキワクワクさせて、もう一度その居場所を確認してもらおうというアルバム。
でも大阪広島のライブは僕の心臓が一番締め付けられていた自信がある。
このコラムの第一話を覚えていらっしゃいますか?
「ばあちゃんの戸籍に入るよ」というタイトルのコラムだ。
気合い入れてKITSUを始めるタイミングの気合いの入ったコラム。
かなりの反響があったのを覚えている。
そのコラムで書いたばあちゃんが亡くなった。
この数年覚悟はしていた。
だから泣き喚いたりはしない。
でもとうとう僕のじいちゃんとばあちゃんはこの世に一人も居なくなった。
その事実だけが寂しい。
でもその亡くなる日ってのが凄くて。
施設に居るばあちゃんの様子がおかしいと連絡があったのは4月3日。
そして次の日の4月4日。
ばあちゃんは亡くなった。
僕が大阪でライブのある4月4日に。
ばあちゃん、そんなにも僕に会いたかったんかいな。
そんな思いで大阪のライブハウスに向かった。
「ライブやろうし、そのまま広島行くやろ?無理せんでええよ」
オカンからこんな連絡が来ていたが、ライブ後に急げばお通夜に顔だけでも出せるかもしれない。
広島には次の日新幹線で向かえばいい。
心臓の居場所というアルバムの再現ツアーだ。
このアルバムの曲たちがまたエモいことエモいこと。
演奏しながらばあちゃんの顔が浮かびまくる。
でもそれが音となりいつもより良い音、良い演奏が出来たんだから人が鳴らす楽器とは面白いもんだ。
何度も涙腺をきつく締め直す。
ライブは最高だった。
ばあちゃんのおかげだ。
20時にライブが終わり、20時20分にはライブハウスを出ていた。(お客さんより早かったかもw)
喪服なんてあるわけがない。
私服で斎場に向かう。
入り口を抜けると「三好」と書かれた部屋がある。
私服で、キャリーケースを転がしながら扉をバン!と開ける。
そこには何十人もの喪服の親族。
全員の視線が僕に向けられた瞬間、僕は何と言っていいかわからずこう挨拶した。
「まいど」
ドカン!
登場するだけで大爆笑を起こしてしまう僕は凄い。
派手な私服に、オレンジの帽子、その上にはヘッドホン、そしてマスクにサングラス。
急いでいたので何も考えずに扉を開けてしまった。
脱帽くらいすればよかった。
ばあちゃんの顔はいつも通りで「宏樹、うどん湯がいたろか?(茹でてあげようか?)」と話しかけてきそう。
ばあちゃんは香川県出身なので。
僕と同じく覚悟していて、もう悲しんだ後の親族たちと一緒に棺桶を覗き込んだ。
「ばあちゃん宏樹やで。来たで」
そう言ってばあちゃんの顔を目に焼き付けた。
大阪と広島のライブは何回も上を向いて演奏した。
涙を我慢しているのではない。
ばあちゃんが上から見てるやろうから演奏中の僕の顔が見えるように。
初孫の僕を信じられないくらい可愛がってくれた。
そんな僕の娘(ひ孫)にも会ってもらえた。
最後はボケてたけど僕が会いに行くとすぐにしっかり「宏樹来てくれたんかいな」とあの声で言ってくれた。
来月発売される本にもばあちゃんとのことが書いてある。
宣伝をしたいわけじゃないけど、そこにはそのばあちゃんのことがもっと詳しく書いてある。
そんな本が来月発売って時にばあちゃん死ぬなんて。
棺桶に本入れたかったなぁ。
でも天国で買って、その本読んどいてよ。(天国にも本屋くらいあるよね?天国なんやし)
じいちゃんと一緒に。
でも最後にうどん食いたかったなぁ。
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