[#217] 何とも言えない 『ひな祭りってなんだ！？』

『ひな祭りってなんだ！？』

男兄弟だけ。

家にはオカンとばあちゃん以外の女性はいない。

部屋には常にメンコとか、ボールとか、LEGOブロックみたいなものが転がっていた。

お人形とかおままごとセットみたいなオモチャは皆無。

五月五日の子供の日にはじいちゃんが買ってくれた立派な鎧兜が飾られ、鯉のぼりが泳いでいた。

長男ってことで何だか豪華な鎧兜だったことは覚えているが、その横に飾られている劍を鞘から抜いて振り回してい他のが一番の記憶だ。

とにかく男社会の中で大きくなった。

さて。

僕には娘がいる。

あだ六ヶ月の娘だ。

毎日可愛がっているのにこの時期の記憶は彼女に残っていないなんて切なくなってくる。

そんな娘にとって初節句が本日だ。

桃の節句というやつだ。

自分で文章を書きながら何のことか分かっていない。

桃？節句？雛人形？

嘘です。

さすがに雛人形はわかります。

日本の風習とか大切にしないといけない。

たぶん皆んな頭ではそう思っていると思う。

年賀状でも、節分でも、七夕でも、お盆でも、お彼岸でも、お歳暮でも。

他にもいっぱいあるんでしょうけど。

どうでもいいと思っている人はいなくても、じゃあきちんと全て何かしらの行動をしている人も少ないんじゃないでしょうか。

そこに現れた”桃の節句”？”初節句””？

漠然とイメージしてみる。

子供の頃ドラえもんを観ていると小僧寿司チェーンのCMがよく流れていた。

あの時にひな祭りのチラシ寿司を見た。

あれか！

ひな祭りはあのイメージか！

チラシ寿司は理解した。

その前に一番大事なのは雛人形か。

何十万円するものからダイソーにあるものまで。

「買わないといけないのか？」

そんな恐怖心に襲われる。

七段？

五人囃子？

飾るスペースあるの？

いくら用意しないといけないんすか？

あー恐ろしい。

ひな祭り怖い。

近づく三月。

そんな時に天の声が。

「家の雛人形あるわよ？」

お義母さん神。

僕の家族構成は男だらけ。

奥さんの家族構成は女だらけ。

冷静に考えたらそりゃそっちの実家には雛人形があるか。

僕は知っている。

奥さんがひな祭り用の衣装？みたいな着物風の服を買っているのを。

なのでこのコラムが更新される時。

僕は立派な雛人形に見守られながら、可愛い衣装を着た娘と、チラシ寿司を食べていることでしょう。

色々言いましたが、娘がご機嫌なら僕はなんでもいいです。

ひな祭りもわからん僕はこれから女の子が育っていく過程でもっと知らないことが出てくるのでしょう。

その度に僕は新たな物事を知り、その度に娘は大きくなり僕の手から離れていくのでしょう。

そんなことまで考え出すと涙がこぼれそうになるのです。

まだ娘は０歳なのに。