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[#215] 何とも言えない 『あの頃に戻るんじゃなくて、今の僕があの頃の僕と対話している』
『あの頃に戻るんじゃなくて、今の僕があの頃の僕と対話している』
再現ツアーを行なっている。
それもデビューアルバム。
青春に戻るぜなんて思っていたけど、あら不思議。
年はとったが現在も青春中でした。
メンバーと目が合う。
最近のライブではクリック(メトロノーム)を使っているのでそれが指針となる。
しかしデビューアルバムの曲たちはクリック通りにはいかない。
Aメロは遅いのに、サビではグンと速くなる。
みたいな曲が多い。
一度メトロノームに合わせてデビューアルバムの曲を鳴らしてみて欲しい。
絶対にズレていくので。
それが青いとも言えるし、人間らしいとも言える。
なのでライブ中はメンバーとよく目が合う。
目を合わせないと演奏が合わない。
立ち位置がセンターである。
これは僕らが憧れたバンアパ先輩の立ち位置を真似させてもらったものだが、歌を届けると考えた時にやはりボーカルがセンターの方がいいと変更された。
でもこのツアーは久々にセンターで暴れている。
ベースのシンタローさんがウザそうにしている。
それもまたいい。
彼は僕の急な動きを避けるのがとても上手かったことをこのツアーで思い出した。
あの頃学生でライブに行けなかったんで嬉しいです。
とか。
最近LEGOを好きになったんで嬉しいです。
とか。
あのアルバムめちゃくちゃ聴いてたけど最近ライブ行けてなかったんで行きます。
とか。
昔も今も行ける時行ってるけど再現ツアーとか最高です。
とか。
色々ありがたい言葉を貰う。
僕らが見せたいのはノスタルジーではない。
懐かしかったねーだけで帰って欲しくはないのだ。
だからコラムのタイトルにあるように”あの頃に戻るんじゃなくて、今の僕があの頃の僕と対話している”と言える。
過去の自分と今の自分がぶつかって語り合って、そして未来へ。
そこにどんな入口でからでも入ってきてくれたからにはあなたを同じ未来に連れて行きたい。
だからこそ三月に周年ライブを東京、大阪で用意している。
懐かしさの次は今までの僕らを網羅したBestライブを見ていってほしいのだ。
避けては通れない。
再現不可能な案件がある。
それはドラムが違うということ。
ドラムの大ちゃんが脱退したんだから”完全”再現は難しい。
だからこそサポートドラムの吉田さんには感謝してもしきれない。
たぶんお客さんも同じ気持ちなんじゃないでしょうか。
彼がいないと”完全”どころか”再現”すらできない。
その上で僕はこのツアーをやって思ったことがある。
大ちゃんはいいドラマーだったなと。
吉田さんより上とか下とかじゃなく、彼にしか出せない音はあったし。
大ちゃんを含めた四人にしか出せなかったグルーヴは確かにあったんだと思った。
気づくの遅いわ!
って話やろうけど、その辺の感覚が鈍い僕としてはこの再現ツアーがそうさせてくれた。
この曲のこの箇所は大ちゃんならこう来たけど、吉田さんはこう来るのか。
みたいなことは多い。
さっきのクリックを使っていない話にも通じると思う。
彼は元気だろうか。
僕もあなたと同じ親になりましたよ。
残りの二名はまだ独りです。(爆)
今話したことなどから逃げずに、きちんと背負い込む。
いつもより多めに回った各地の景色や人を思い出す。
大阪のガキたちが大人の手も加えずに必死で作ったアルバムが時を経て鳴らされる。
ええ年になった本人たちに。
でもガキのままここまで来た。
残すはファイナル新代田。
このセトリでライブをやることはもうないと思うと、遠くに住んでいる我が子が少しの間帰省してくれていた気持ちになる。
(そんな状況になったことはないけど)
一生会えないわけでもないし、離れて暮らしていたからそんな寂しさを覚えることはなかったのに、たまたま最近一緒にいたから離れるのが寂しいのだ。
何だか自分がめちゃくちゃ都合の良い親な気がしてきた。
過去、現在、未来。
死ぬまで繋がる。
繋がって欲しくなくても繋がる。
その糸はそう長くはない。
謳歌するしかない。
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