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[#195] 何とも言えない 『たぶんもう引っ込みがつかなくなっている』
『たぶんもう引っ込みがつかなくなっている』
最近のヘッドホンやイヤホンの没入感は物凄い。
ノイズキャンセリングで思い出のあの曲のライブ音源なんて聞いた日にはタイムスリップが可能だ。
でも絶対にそれらをつけながらの自転車の走行はやめてほしい。
一度バイクで死にかけた人からのお願いです。
もちろん僕が事故った時はイヤホンなどしてるわけもないのだが。
それでも事故る。
よく街でイヤホンしたまま自転車に乗る人、ましてやバイクに乗る人も見かける。
ノイズキャンセリングの逆の外音を取り入れる機能もあるのは知っているが見た目的にも怖い。
本当にやめてね。
死ぬよ?
カラオケなんて年に一回か二回しか行かない。
毎月カラオケの百倍良い音でステージに立ち一緒に歌っている身としてはカラオケが趣味になりにくい。
でも行った時は全力で楽しむ。
まずは布施明の「君は薔薇より美しい」を歌って喉のコンディションを確かめる。
そこから松山千春、 GRAPEVINE、A.B.C-Zなど、こんなフェスはあり得ないというラインナップで歌っていく。
別にカラオケは嫌いではない。
でも別に歌が上手いわけではない。
上手いならボーカルをやっていただろうし。
でも歌うのは気持ちいいよね。
吃音者は歌になると吃らないし。
※これって何故かわかっていないとても神秘的なこと
どういう神経なんだろう。
道で一人、大声で歌う人の神経は。
夏の暑さのせいで色々とやられてしまっているのかもしれない。
何だか定期的に見かける気がする。
好きな音楽聴きながら自分も歌い出したくなる気持ちはわかる。
でもそれを道で一人で大声で、しかも夜が多い気がする。
これはもうアウトではないが、不審がられても仕方ないと思う。
どういう神経なんだろうは言い過ぎました。
すまん。
どういう気持ちなんだろう。
夏が始まればもう蝉が道で死んでいる。
昼間あんなにお世話になった日傘は夜にはもう邪魔でしかない。(今年から日傘デビューしました)
家の冷蔵庫にはビールとアイス。
どっちも口に入れるなんて大富豪のすること。
今日はどっちの封を開けようか。
駅からの帰り道はもう街灯がつく時間だ。
一緒の電車で帰ってきた人たちが住宅街に入っていくにつれ一人また一人と減っていく。
東京の道は狭い。
子供たちはどうやって遊んでいるのか。
心配しなくても子供たちはその環境で最高の遊びを思いついているに違いないからおじさんの余計なお世話なのだ。
歌声が聴こえる。
下手くそだ。
小さな交差点に突入するとその歌手が自転車で現れた。
たぶんもう引っ込みがつかなくなっているんだろう。
僕と確実に目が合った。
一瞬歌声は小さくなってすぐに大声に戻った。
夜でもわかるほど彼の顔は赤面している。
僕も鉢合わせてしまったことに申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
何の曲かはわからなかったが何だか元気いっぱいの曲だった。
歌詞的には女性の歌だろうか。
僕の中で勝手に「女性の声優さんの曲だ」と推理した。
でもこれがもしLEGOの曲なら二人で赤面していたのだろうか。
そんなことを思いながら彼の背中を目で追った。
まだまだ大声で歌っている。
もれなく彼もイヤホンをしていた。
交通ルール的にも危ない。
僕が交差点にいることに気づくのもそれで遅れているかもしれない。
死ぬよ?
肉体的にも(事故るという意味でも)
精神的にも(熱唱を聴かれるという恥ずかしさという意味でも)
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