[#144] 何とも言えない 『ミュージカルへ宣誓』

『ミュージカルへ宣誓』

吃音がある今では絶対に断る案件。

小学校の時の運動会。

選手宣誓をやらされた。

決まったセリフを言うなんて吃音持ちには信じられない案件だが。

僕は子供の頃は吃音がなかったと記憶している。

何なら張り切って家で宣誓を練習していたと記憶している。

何を誓っているのかもわからず決まった言葉を丸暗記して臨んだ。

吃音のあるお子さんにはこの案件は指名しないであげてほしい。

もちろん本人がそれでもやりたいなら全力でやらせてあげてほしい。

全力で応援する。

それだけは誓える。

それだけは宣誓できる。

ボーカルのキンタさんがミュージカルに出演する。

大昔僕に映画のお話があり断ったことは話したことがあると思う。

その時はバリバリ吃音で映画のセリフなんて言える気がしなかった。

そこから時が経ち、キンタが決まったセリフや歌を歌う舞台があるのだ。

僕は冷静に観れるのだろうか。

吃音者としての立場。

先程述べた過去を経て純粋に観客といて楽しめるのか。

セリフに詰まったりした時に人一倍見てる僕が力が入りそうだ。

身内としての立場。

これは吃音とかそういうことじゃなく。

ただただ身内の人間がミュージカルに出ていることへの照れだ。

実家のオカンがフラダンスをしている動画を送りつけられ、その再生ボタンを押せないでいる息子の気持ちと同じだ。

どちらも僕の気持ちなのだが。

もちろん応援している。

でも照れは消えない。

公演期間のどこかで見に行こうとは思っているのだが僕だけ違う感情と色んな立場から観ることになる。

（勝手に言うてるだけですが）

でも頑張っている姿をきちんと見届けるのもメンバーだ。

シンタロウさんは「二回くらい行こうかな～」なんて言っていた。

さすがだ。

だから僕もここで宣誓する。

ミュージカルを純粋に楽しむことを。

「宣誓！私タナカヒロキはミュージカルを楽しむことをここに誓います」